オープニング
エリン歴史学会は、王城のドルイドとの対話で興味深い情報を得た。
何でも、ディナシーという妖精はかつてエリンを治めていた神族なのだとか。
そこで、歴史学会はディナシーという妖精からトゥアハ・デ・ダナンの起源を紐解いていく事にした。
前提
トゥアハ・デ・ダナン
ウルラ大陸を中心に生息域を持つ、人間の一種族。
この名称には、「ダヌの子孫」という意味がある。
古代に遡ると、今より体が大きかった。
一般的には、ヴァン族から派生した種族とされている。
しかし、最初からエリンに住んでいたわけではないという伝説もある。
ディナシー
かつてエリンを治めていたトゥアハ・デ・ダナン(=神族)の一部が力を失い、長い歳月を経て妖精となったもの。
エリン
①ウルラ大陸、イリア大陸、コナフタ大陸、ベルファスト島など、世界中を示す言葉。
②ウルラ大陸の別名。
ダヌ
大地の女神。それ以上の詳細は不明。
以上の前提情報から、トゥアハ・デ・ダナンの起源を考察する。
トゥアハ・デ・ダナンの起源
まず、「最初からエリンに住んでいたわけではない」の読み方を確定する。
最初から「この世界」に住んでいたわけではないと読む場合
この場合、ヴァン族起源説も神族起源説も成り立たない。
ヴァン族はコナフタ大陸起源の種族。神族も"エリンを治めていた"とある。
→「エリン」は「ウルラ大陸」で確定。
↓
それぞれの起源説を検証する。
「最初からウルラ大陸に住んでいたわけではない」が成り立つか?
ヴァン族起源説
ヴァン族はコナフタ大陸からイリア大陸に移住した、古代エルフと人間の祖先。
トゥアハ・デ・ダナンがイリア大陸からウルラ大陸に移住したのであれば成り立つ。
→イリア大陸は、エイリフ王国がエフル・マククル一世の時代に見つけた新大陸である。
→移住していない。
神族起源説
現在の神族が元々住んでいたのは、「神々の都市・ファリアス」である。
これはウルラ大陸ではなく別空間にあるため、直系の祖先である神族がここから移住したのであれば成り立つ。
→現在のファリアスは崩壊している。ファリアスに戻った神がいる。
また、古代の人間は今より大きかった事が分かっている。
ディナシーと、程度は違うが同じ過程を辿っている。
→移住している。
結論:神族起源説が最有力である。
なぜヴァン族起源説が定説になったか
では、なぜ当のトゥアハ・デ・ダナンの間ではヴァン族起源説が定説となっているのか?
要因としては、以下が考えられる。
1. 現・神族が、人間が被支配者の枠を超えられる可能性を徹底的に隠蔽している
これは、G17でタルラークが示唆している最も強い要因である。
2. 実際にヴァン族を起源とする人間種がいるため
分かっている限り、パルホロン族はイリア大陸から移住してきた種族であるため、時系列的に考えてパルホロン族はヴァン族を起源とする人間種。
↓
トゥアハ・デ・ダナンと神族が同じという可能性を見出しても、1の要因があるため流布されない。
結果、トゥアハ・デ・ダナンもヴァン族起源だとなるのは妥当である。
エピローグ
エリン歴史学会は、トゥアハ・デ・ダナンの神族起源説を支持する事にしたが、この論文は永久的に封印されるだろう。
ハイミラクの言葉を忘れるな。
"この世界ははじめから、お互いが絶えず理解を追求し、ぶつかりあう運命の下に育った。"
人間と神族もまた、この世界に属する事を忘れてはならない。
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