プロローグ
古代パルホロンは、アートンシミニからカリバーンを賜り、運命の祭壇を作って安置した。
その運命の祭壇がある場所は、ラフ王城の影世界である。
ウルラ大陸を映すように拡大を続ける影世界は、古代のウルラ大陸を知る手がかりになると考え、歴史学会は王政錬金術師と共に調査を続けている。
この日、歴史学会の最新の研究結果を、王政錬金術師レイモアに共有する事になっている。
前提情報
パルホロン
絶対神アートンシミニが大洪水で世界を破壊した後、生き残ってイリア大陸から渡って来た種族。
古代のウルラ大陸でウレイド王国を築き、タラを中心に栄えた。
アートンシミニからカリバーンを預かり、ラフ王城に運命の祭壇を作って安置し、これを守護する事を一族の義務とした。
女神モリアンと手を組んだ魔神キホールにより、カリバーンの疫病が引き起こされ、わずか一日で滅亡した。
古代魔法に長けた種族としても知られている。
ソウルストリームの出現以前から存在した種族である事が分かっている。
カリバーン
絶対神アートンシミニが、大洪水で破壊した世界にティルナノイを創造するために使用した神の道具。
それと同時に、ティルナノイを完全に消滅させる道具でもある。
別名:黒い太陽の光
クルクレの心臓はカリバーンの欠片で、二つが融合することで意思を持つ生命体となり、様々な形に進化する。
パルホロンが滅亡して以降、第二次モイトゥラで人間が勝利するまでは魔族に所有権があった。
第二次モイトゥラ以降はラフ王城で安置されていたが、魔族がこれを盗んだ事で影世界が発生する。
女神ネヴァンによってクルクレの心臓と融合した後、ブリューナク → ミレシアン(プレイヤー)に進化し、その後は運命の祭壇に戻され変化を終えている。
シャドウウォーカー
血統や出自など、様々な理由で魔族にも人間にも受け入れられず、現状のエリンでは生きられないために、影世界で生きている人物たちの総称。
先天的な特殊性によってエリンで追い詰められた末に影世界で生きているため、エリンからやってくる存在に好意的ではない。
エルグ
光のエルグと闇のエルグが存在するが、単にエルグと表記される場合は光のエルグを指す。
光のエルグ
パララから供給されるエネルギー。
二つの極性を持つエネルギーで構成されている事が分かっている。
無形(光)の状態でエリン全域に供給されるが、自然に結晶化したり人為的に固形化することができる。
生物、無生物問わず、エリンの全てのものが保有し、特に生物に宿るエルグは生命力と呼ばれる。
闇のエルグ
ノイタールアラトの黒い太陽から供給されるエネルギー。
時空間を破壊する作用があり、闇のエルグによって時空間が破壊される現象をエルグ崩壊現象と呼ぶ。
エリンでも闇のエルグは発生するが、光のエルグの変質により突発的に発生するものである。
無形(黒いオーラ)の状態で発生するが、自然に結晶化したり人為的に固形化することができる。
影世界はなぜタルティーンから発生したか?
ストーンヘンジ
・ダンジョンの祭壇は人間が作ったものであるため、出入りを制限する祭壇を作る事
は最近でもできる
・タラのストーンヘンジが祭壇部のみで構成されている
この事から、タルティーンのストーンヘンジは、祭壇部と巨石部で設置年代が違うと考えられる。
なので、ここで取り扱うストーンヘンジは祭壇部ではなく巨石部である。
ストーンヘンジが存在する場所
エリン(タルティーン)
ファリアス
ストーンヘンジの効果
エリンのストーンヘンジ → ?
ファリアスのストーンヘンジ → ファリアスのエルグが凝集している構造物
→ エリンのストーンヘンジは、光のエルグが凝集していると考えられる
ならば、影世界の発生がタルティーンからだったのは、エリンにおける雷の原理が関係すると推測できる。
<雷の原理>
エルグが二つの極性に分離され、それぞれが空気と土でエネルギーを蓄積する。
どちらかのエネルギーが許容量を超えると、高いエネルギーの極から低いエネルギーの極にエネルギーの瞬間的な移動が発生する。これが雷である。
この移動は、極性を持つエルグが消滅しきるか、両極のエルグに蓄積されたエネルギーが平衡するまで続く。
光のエルグと闇のエルグも二極のエルグであるため、あの世で発生した闇のエルグはエリンを満たす光のエルグに引き付けられ、更にストーンヘンジに凝集した光のエルグに向かう。
その結果、あの世とタルティーンの間に通路ができる。
魔族はファロンを利用してラフ王城から奪取したカリバーンを使ってタルティーンの影世界を錬成し、エリン侵攻の前哨基地とした。
→ タルティーンで影世界が発生した
影世界の起源は?
タルティーンで影世界が発生し、拡大を続けている事が分かっている。
しかし、パイソンナイトが数千年を影世界で過ごし、ラフ王城の影世界にパルホロンの痕跡がある事も分かっている。
ならば、タルティーンが最初の影世界ではなく、影世界そのものは数千年前から存在していた事になる。
影世界を理解するために、影世界の起源を探る必要がある。
ラフ王城の影世界の矛盾
1, パルホロンは、ラフ王城に運命の祭壇を作った。
しかし、現在のラフ王城はパルホロン滅亡後に建てられた。
2, パルホロンの子孫がエリンにいる事から、パルホロンは間違いなくエリンのタラで
栄えた種族である。
しかし、トゥアン・マーク・カリルとそれに従うパルホロンの屍たちがいたのは
影世界である。
これらの矛盾をある程度説明が可能な有力説を導く
ラフ王城の影世界はパルホロンが作った(パルホロン起源説)
<根拠>
・運命の祭壇はラフ王城に作られた事が確定している
・現実のラフ王城には運命の祭壇がない
・ストーンヘンジの作成はパルホロンが行った可能性がある
<提唱>
カリバーンは「黒い太陽の光」と呼ばれる通り、闇のエルグを生じる物体である。
闇のエルグは、エリンの秩序に逆らって空間に亀裂を生じさせる事が分かっており、更にカリバーンは世界の構成の力を持つため、パルホロンが空間の亀裂の先で影世界を作る事も可能なのではないかと考えられる。
カリバーンの守護というパルホロンの使命を鑑みれば、影世界を構成した後、ストーンヘンジを建設して出入りを管理した可能性は十分にある。
パルホロン滅亡後に作られた現実のラフ王城に運命の祭壇がないのは現実的である。
<反論>
パルホロンが疫病を避けるために避難した場所は、影世界ではなくラフ要塞だった。
カリバーンの祭壇にはパルホロンの守護神もいるのに、影世界ではなくラフを選ぶとは考えにくい。
また、パルホロンの幽霊やパルホロンの意思を持った屍(パイソン系のアンデッド)は影世界にしかいない。
生き残ったトゥアン王子がストーンヘンジから現実世界に出てきて、パルホロン復活のために遺体を運んでいたのならば、影世界の入り口は数千年前から開いていた事になる。
影世界の発見はミレシアンがグラスギブネンを倒した後であると確定しているため、それまで数千年間見つからなかったというのは無理がある。
現在の影世界はタルティーンから発生し、ラフ王城まで拡大した事が確定している。
元々あったラフ王城の影世界と繋がった事を「広がった」と言っている可能性はあるが、二つの世界のラフ王城の同一性を鑑みると説得力に欠ける。
影世界はエリンの並行世界であるため、影世界のラフ王城が最初から存在したならば、その造形は影世界のラフ王城 = パルホロン時代のラフ王城となる。
ならば、影世界のラフ王城と現実のラフ王城の造形が全く一緒であるのは、現実のラフ王城建設時にパルホロン時代のラフ王城を完全再現した事になる。
復元ではなく、完全に一から建てた王城であるのに、そうなった具体的な理由が不明である。
→ 矛盾1,2どちらの根拠にも欠ける
影世界は元々エリンだった(封印された地域起源説)
<根拠>
・運命の祭壇はラフ王城に作られた事が確定している
・エイヴォンは地域ごと封印された、ウレイド王国の都市
・パルホロンの守護神が影世界にいる
・パルホロンの幽霊やパルホロンの意思を持った屍(パイソン系のアンデッド)は
影世界にしかいない
・トゥアンは、影世界のラフ王城を神聖な領土と呼ぶ
・ラフ王城の影世界のBGMに「疫病の土地」がある
<提唱>
カリバーンの疫病は容易には止まらず、タラからやってくるネズミを媒介して別の都市まで広まっていた事が分かっており、脅威の排除どころかティルナノイそのものの消滅に達しようとした。
これが容易に止められるものなら、キホールはカリバーンを魔族が占有している間に同じ使い方をしていたはず。
この疫病の拡大を絶つには、根本を隔離する必要があった。
そのため、タラを地域ごと封印した。
この時にトゥアン・マーク・カリルも共に封印され、シャドウウォーカーになったと考える事ができる。
シャドウウォーカーは影世界で起きている事全てが見えるため、魔族がカリバーンと共に影世界に現れた段階で、パルホロン復活と神族への復讐の計画を進め始めた。
この封印先がノイタールアラトだったため、影世界はノイタールアラトの開放で急激に拡大するようになったと考えられる。
しかし、パルホロンの守護神がいたため、ラフ王城だけはノイタールアラトに封印できずに最初の影世界となったと考えられる。
その数千年後、あの世からの闇のエルグの供給が始まり、モルガントが語るポウォールの理想に賛同したファロンによってカリバーンがラフ王城から盗まれ、魔族の手に渡った事で、カリバーンの力である「世界の構成」を行うことが可能になった。
その結果、闇のエルグで構成されたタルティーンの影世界が出現した。
影世界はエリンの並行世界であるため、ノイタールアラトから再構成される段階で、現在のエリンを反映したと考えられる。
<反論>
パルホロン滅亡後にタラが封印されて影世界になったのならば、影世界のラフ王城と現実のラフ王城の造形が全く一緒であるのは、現実のラフ王城建設時にパルホロン時代のラフ王城を完全再現した事になる。
復元ではなく、完全に一から建てた王城であるのに、そうなった具体的な理由が不明である。
現在の影世界はタルティーンから発生し、ラフ王城まで拡大した事が確定している。
元々あったラフ王城の影世界と繋がった事を「広がった」と言っている可能性はあるが、二つの世界のラフ王城の同一性を鑑みると説得力に欠ける。
ノイタールアラトにタラ地域が封印されたとして、ヌアザさえも出られなかったノイタールアラトでウロボロスを封印できないとは思えない。
→ 現状、影世界のバックグラウンドについて一番整合性がとれる
結論:影世界の起源は、封印された地域起源説が
最有力である
エピローグ
歴史的観点からの影世界の研究結果を、王政錬金術師レイモアに共有した。
影世界について多くを推測してこの結論を出したとはいえ、あくまで推測である。
歴史学会の研究結果を踏まえ、また錬金術師が直接影世界を調査し、新たな事実が解明される事を願う。
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