概要
アルバン騎士団で最高の騎士と謳われる人物・トルヴィッシュ。
今では、ミレシアンの心から大切な人となっている彼とミレシアンの繋がりを、今一度紐解いていきましょう。
この先、G21・G25ネタバレ注意
初代団長時代
初代団長時代、ペンダントを通じて、何者かに見られている事に気が付く。
悪意の類には思えず、むしろ馴染みある神聖力を感じ取ったトルヴィッシュは、大剣を通じて神聖力の繋がりを遡り、ミレシアンと共鳴を果たす。
未来のエリンは初代団長の時代とそう変わらないが、ライミラクの名の下に人々は異界の神の教えに対抗しており、今共鳴している人物が人々の光なのだと知る。
未来を知ったトルヴィッシュは、アヴァロンを封印した後に放浪者となって世の中を見守った。
そして、ミレシアンの目を借りて観測した未来を自ら変えると決意する。
ミレシアンが来る前から多くの事を成し遂げて来たが、何をしてもエリンの混乱と争いは防げなかった。
魔族と人間の大きな争い、パルホロン族の滅亡、影世界の拡大、開く異界の門・・・。
結局は、ミレシアンを通じて観測した通りの未来になってしまう状況に酷く苦しむ。
そして、それを共有できる相手もいなかった。
「自分はどうしてここにいるのか、何を探し、何をして、何を愛し、何を守ればいいのか」
八つ当たりのように、未来を知る切っ掛けとなったミレシアンを恨む。
「どうしてあなたに出会って、自分はこんなにも悩み、苦しまねばならないのか」
それでも折れなかったのは、固い信仰心はいわずもがな・・・一時の存在意義、探し物、すべきこと、愛すべきもの、守るべきものになってくれた、マーリンの存在が大きかった。
長い間悩み、考え抜いた末に、アートンシミニが自分に何を求めているかの結論を見出す。
それは、「均衡による完成」だった。
異界の神をエリンに連れ込み、その脅威からトルヴィッシュが世界を守護する。
その守護の力の下に、世界は結束すると考えた。
ミレシアンが世界を脅威から守り、人々を繋ぐ光となっていたように、自らの圧倒的な力を人々に示し、世界の光となろうとした。
今までの混乱が変えられなかったのは、そのために定められた順序に過ぎず、必要な犠牲だったと啓示を解釈した。
G19 神の騎士団
G20 聖域の扉
自分の役割を解釈したトルヴィッシュは、遂に共鳴したミレシアンと出会う。
ミレシアンは特別な力を持つ異界の存在で、死ぬこともなければ帰る場所が別に存在するため、使命感や責任感などは無く、エリンで何が起きようとも心を痛める事は無いと思っていた。
それは、ミレシアンという存在ならば致し方のない事で、例え自己満足だとしても世界を救ってきた事には変わりなく、トルヴィッシュ自身もミレシアンの異界との繋がりを利用できれば何も問題ない。
相容れない存在として、一線を引いて交流を始めた。
ところが、共に行動をしていく内に思っていた人物ではなく、むしろ共感できる存在である事を痛感する。
誰かのために自分の身を犠牲にし、使命や責任に苦しみ悩んで、救えなかった事に後悔と無力を感じ、命の重さも特別な力を持つことも何もかも周囲と違い、悩みを誰とも共有できない。
まるで、鏡に映る自分を見ているかのように深く共感するようになったトルヴィッシュは、ミレシアンに全てを一人で背負おうとしてほしくなかった。
戦場に、最後にただ一人立っているミレシアンをシールド・オブ・トラストで守った時、その意志をミレシアンに示した。
「わたくしは・・・少なくともわたくしは・・・最後の瞬間に・・・あなたを一人にはさせません」
「全てを一人で背負おうとしないでください」
それは大昔、トルヴィッシュ自身が一番欲していて、得られなかった言葉だったのかもしれない。
G21 守護者の道
トルヴィッシュはミレシアンを直接異界の神にする計画から、ミレシアンを媒体に別の神を呼び寄せる計画に変更した。
例え酷く苦しませて、自分が恨まれる形になったとしても、トルヴィッシュが全ての戦いを背負い、均衡と共存によって完成された世界で、英雄の重責から少しでも解放されているミレシアンの姿を見守る事を望んだ。
遂に聖所に辿りつき、正体と目的を明かす。
エリンをより良い姿に導くため、やっと見つけた対等な存在を犠牲にしなければならない。
ミレシアンの苦しみも、自分の悲しみも、向けられるだろう恨みも、全てが必要な犠牲だと言い聞かせ、ミレシアンに大剣を刺す。
体の中も外もボロボロのミレシアンは、それでも自分を阻止しようと立ち向かってきた。
本当にこれ以上苦しませたくない。
ミレシアンを何とか説得しようとするが、変えられなかった。
戦っている最中、ミレシアンはぐちゃぐちゃになっていた神聖力と体内にある多くのエリンの力と、常に流れ込んでいる異界の力がそのまま融合して、新しい力が宿る感覚を覚えた。
それは、異界の神になる力だった。
自ら異界の神になったミレシアンを見て、トルヴィッシュは愕然とする。
自分と同じように悩みながらエリンを大切に思うミレシアンに、エリンの敵という役割を一身に背負わせるなどできなかったから、別の神を呼ぶ計画に変えた。
その選択が間違いだったのだろうか。
ミレシアンの姿は、トルヴィッシュが遥か昔に観測した・・・エリンを破壊する異界の存在そのものだった。
しかし、その姿でもミレシアンは神聖力が扱えた。
つまり、アートンシミニが異界の神であるミレシアンに力を与えている。
エリンの全ての敵となったはずなのに、どういう事なのだとトルヴィッシュは混乱する。
ここでトルヴィッシュが勝てば、世界は完成する。
しかし、どうしたことか、アートンシミニがそれを阻む。
アートンシミニの意志がどこに向かっているのか、独りで悩み、苦しみ、やっと見出した結論を、達成手前でアートンシミニ本人が阻む。
何が間違っているのか、どこで間違ったのか、もうこれ以上どうしたらいいのか、全てが分からなくなったトルヴィッシュは戦意を喪失する。
信じていた答えを見失ったトルヴィッシュは、自分はどうしてここにいるのか、何を探し、何をして、何を愛し、何を守ればいいのか、再び分からなくなってしまった。
そんなトルヴィッシュに、ミレシアンは何も言わずにシールド・オブ・トラストを見せた。
そうしなければならないと思った。
「私は、少なくとも私は、あなたを最後の瞬間に一人にはしません」
「全てを一人で背負おうとしないでください」
長い時を経て、一番欲しかった言葉が返って来た瞬間だった。
自分はどうしてここにいるのか、何を探し、何をして、何を愛し、何を守ればいいのか。
答えは遥か昔から、ずっと示されていた。
トルヴィッシュは、それを知るために今までの苦悩があったのだと理解する。
トルヴィッシュは、ミレシアンを守り、ミレシアンと共に世界を守る事が答えなのだと悟った。
トルヴィッシュはこれからも、ミレシアンの絶対的な味方となり、苦悩を共に背負っていくだろう。
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